受講者アンケート~通訳基礎1.5By 岩田 晶子 / 2026-09-18 この春から大学院の博士課程に進学し、通訳に関する研究を始めました。通訳や通訳研修の仕事、このオンライン講座、そして初級者向けのポッドキャストを続けながら研究にも取り組んでいます。気がつけば5か月ぶりの更新になってしまいましたが、その間も講座は続いています。今回は、先日終了した「通訳基礎1.5」のアンケート結果をご紹介します。 2026春「通訳基礎1.5」の特徴 「通訳基礎1.5」は、今期初開講の講座で、「通訳基礎1」を修了し、「通訳基礎1.5」に進むことができると私が判断した方を対象に開講しました。特徴は、すべてのマテリアルを音源にしたことです。それにより、メモ取りやリテンションなどのスキルを確認しやすくなりました。今回の春期講座は、2026年4月から8月に実施しました。受講者は、フリーランス通訳者Aさん(40代)、Y.Sさん (30代、女性)、N.Sさん(20代)の3名でした。 期待 アンケートには、自分の不得意分野を見つめ直し、改善のきっかけにしたかった自信をもって通訳をする通訳をする際の判断基準、優先順位を学ぶ実践的なトレーニングを通じて、自信をもって通訳に臨めるようになることといった期待が寄せられていました。 音源からの逐次通訳 今回は、私が録音した音源を使って、逐次通訳の練習をしてもらいました。この練習について、どのように感じたか質問したところ、以下のような回答がありました。(複数回答可)実際の通訳に近い練習ができた(2)自分の理解力・記憶力の課題に気づけた(2)難易度が高かった(3)また、音声については、「聞き取りやすさや練習への取り組みやすさ」についても、「非常によかった」(2)、「よかった」(1)という回答でした。 難しかった点・学びになった点 特に難しかった点、学びになった点について質問したところ、下記の回答がありました。自分が触れてこなかった分野について想像力が働かず、通常よりも負荷が上がるという点がやはり難しく、そんな中でどう対応していくかという試行錯誤が学びになった日→イの通訳は非常に難しく感じた。特にスピーチなどの通訳では自分の語彙の少なさや文法に関する不安定さを感じたオケージョンや内容によって訳出の仕方や声のトーンを変える点は難しかったが学びにもなったこの講座では、10回の中で、日尼通訳で扱われる機会がありそうな分野のテーマを幅広く取り上げています。受講者によって普段通訳している分野が異なるため、なじみのないテーマを難しく感じる回もあると思います。ただ、実際に通訳をしていると、自分が依頼された分野とは異なる話題に広がることもあります。そのため、脇に汗をかきそうなそのような場面に対応する練習になると考えています。私自身も、自分の語彙の少なさをいつも感じております。例えばスピーチの格式を保ちつつ、故事成語などを用いて重みのあるメッセージを伝えるような場合などは、普段から幅広くさまざまな文体に接しておくことの大切さを感じています。「オケージョンや内容によって訳出の仕方や声のトーンを変える」という感想は、発話者の発言の強度や緊急度を、ターゲット言語で目減りさせずに伝えることを狙いとした回についての感想だと思います。普段使い慣れていない表現は、その場で意識して対応しようとしても、思うようにできません。だからこそ、実際にその難しさを体験し、何が足らないのか感じてもらうことが重要だと考えています。 受講後の変化 受講後の変化について尋ねました。メモ取りや聞き取りに関して、よりイメージや概念、構造を捉えようと思うようになった何を意識して自習し、本番に取り組むべきか分かってきた同じような意味合いでも状況によってどの単語が正確か、考える癖がついた全てを訳出することにこだわらず、余力を残すために必要に応じて敢えて落とすこと、迷いをアウトプットに出さないようにすることをより意識するようになったどれも、通訳をするうえで大切なことを、ご自身の言葉で捉えてくださっている回答だと思います。こうした気づきを得てくださる受講者の方々に、私も感謝しております。 通訳基礎シリーズでの学び 今回の受講者は、これまでも受講していた方なので、今回の「通訳基礎1.5」だけでなく「通訳基礎1」や「通訳基礎2」など過去に受講した講座を通じて学んだことを回答していただきました。グラフをそのまま掲載すると見づらいので、回答をこちらでまとめました。①通訳時に新たに意識するようになった判断基準は何ですか?(複数選択可)専門用語の、表面上ではなく実質的意味(1)対象者の知識レベルに応じた単語の選択(1)文化の違いによる誤解が生じるリスクの予測(3)動詞の選択が意図伝達に与える影響(3)②以前より向上した、または向上を実感しているものをすべて選択してください。(複数選択可)話の流れや情報の構造を把握する力(2)重要な情報を保持する力(1)日本語理解の精度(1)インドネシア語理解の精度(2)日本語訳出の精度(1)インドネシア語訳出の精度(1)文脈や発話意図を考慮して訳出する力(2)状況に応じて適切な表現を選択する力(1)メモを活用して情報を整理する力(2) 講師のフィードバックについて 講師のフィードバックで、特に役立った具体例を記入してもらいました。情景が浮かぶか浮かばないかで通訳速度が違う指示をしなければならない時はその場に応じた強い言葉を使うべき(通訳)の満足のために通訳をするのではないということ(そのために無駄に通訳時間を引き延ばさない)。心の持ちよう。強弱や間の取り方。どれも、実際の通訳をする中で意識していただきたいことを、具体的に捉えてくださっていると感じました。 一番大きな学び 最後に、この講座で一番大きな学びを質問したところ、以下のようなコメントがありました。同レベルの学習者や適切なフィードバックをもらえる場が、インドネシア語学習をする中で大変希少で、本講座以外ではそのような場を見つけることは難しいと思う結局、語彙や発音などは自習で伸ばすべきものだが、通訳の際に求める制度、どれくらいこだわるべきかという点や心持ちを、同じインドネシア語学習をする日本人の目線で教えていただけるというのが最も大きな学び実践的なトレーニングを積むことができ、毎回講師から的確なフィードバックをもらえることこのような言葉をいただけたことを、ありがたく思います。そして、受講者の方々の学びに、私自身も感謝しています。 2026秋の「通訳基礎1.5」は、、 2026年度秋期も継続して開講します。ただし、「通訳基礎1」を修了し、「通訳基礎1.5」の内容に進むことができると判断した方を対象としています。過去に受講された方で、音声教材を使って引き続き学びたいという方がいらっしゃいましたら、ご一報ください。10月から開講いたします。