インドネシア語を学んだきっかけ

「高校生のためのアジア講座」

高校2年生の春のことでした。新聞を見ていたら、あるNGOが「高校生のためのアジア講座」を開催しているという記事を見つけました。「アジア」ということばが何となく気になっていたけれど、教科書でも、普段の生活の中でもあまり語られることがないと感じていたので、興味をもちました。家から1時間以上かかる場所にありましたが、遠すぎるほどではなかったため、その講座に参加することにしました。

そうして、月に1回、アジアの人々の日常生活について話を聞く機会ができました。それは、愛知県日進市にある「アジア保健研修所(AHI; Asian Health Institute)」というNGOで、アジアの人々が自らの力で「健康に暮らす」ことができるように、村落保健に関わる医師、看護師、ソーシャルワーカーを対象に研修を実施している団体でした。

スリランカ、ネパール、フィリピン、インドネシアなどから研修生が来日中であれば、英語が堪能なスタッフが間に入って彼らから話を聞き、研修生がいなければ、スタッフからアジアの国々の貧困や保健状況について学びました。

「高校生のためのアジア講座」には、愛知県内外から高校生が参加していました。高校とは異なる環境で、学校の友達とは違うタイプの高校生と、自分が知らない世界について話を聞いたり、おしゃべりをしたりすることが新鮮でした。また、研修生とは英語で話すのですが、お互いに英語が十分に通じないことがあっても、英語を使って英語圏以外のことを学べることが楽しみでした。

「高校生のための生活体験スタディー・ツアー」

AHIでアジアの国々について学ぶうちに、漠然と、将来はアジアの国に関わる仕事をしたい、大学生になったらアジアの国へ行きたい、と思うようになりました。

AHIでは当時、高校生を対象にしたスタディー・ツアーを毎年春休みに開催していました。「生活体験」をするというもので、前年に参加した高校生から話を聞く機会があり、とても魅力的に感じました。

スタディー・ツアーについて知った時、私は高校2年生だったので、受験勉強をしないといけない高校3年生の直前である春休みに参加する、という選択肢は考えられませんでした。しかし、そのスタディー・ツアーは高校生を対象としており、大学生は参加できません。

AHIで仲良くなった友達は「話を聞くのと自分の目で見るのとでは、感じることが全く違う」と言い、私はしだいに、受験する大学を決める前に参加しないと意味がないような気がしてきました。

私が通っていた高校の友人は、高校2年生の夏にイギリスやアメリカ、カナダ、オーストラリア等の英語圏に2週間から1か月程度の語学留学に行きました。しかし、費用が高かったため、私は参加を諦めました。

ところが、スタディー・ツアーの参加費は英語圏への語学留学の半額ほどでした。私も海外に行きたいという気持ちが募り、結局、貯金をすべておろしてスタディー・ツアー参加費に充てるといって親を説得し、初めての海外旅行に出かけることになりました。

インドネシアに特別な興味があったわけではなかったのですが、その年のステディー・ツアーの行き先はインドネシアでした。それが、私がインドネシアに行くことになったいきさつです。

そうして、スタディー・ツアーに参加しました。参加者は日本全国から集まりました。自分の意志で参加を決めた高校生には、将来は海外青年協力隊員になりたいとか、学校でフィリピンの小学校に募金をしているけれど、どんなところか知らないので、という具体的な目的をもって参加する高校生もいました。きっといい経験になるから、と親に言われて参加した高校生もいました。

学びたかったのは社会と文化+言語

高校生同士の話も楽しかったのですが、インドネシア語を十分に話せない状態で生活体験をしたことが心残りでした。結局、進路を大いに迷ってしまいました。迷う中でもはっきりしたのは、インドネシア語を学ぶことを目的にしたいわけではない、インドネシアの社会や文化をもっと知りたい、そのために言語も学びたいという思いでした。

 

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