インドネシア語通訳者のお仕事事情その2

前回は、「インドネシア語通訳者のコロナ禍のお仕事事情」として「音声収録」について書きました。

今日は、本業の通訳に関するお話です。

リモート通訳

コロナ禍でも対面通訳はありますが、コロナ以前と比べると通訳を必要とする場そのものが激減しました。また、会議の一部はインドネシア―日本間の移動を必要としないリモート通訳に移行しました。セミナーやイベントは、各地から人を1か所に集める必要がないため、新規の案件がありました。そして、6月に入ってからようやく、昨年流れた案件がリモート通訳案件として復活し始めている兆しを感じています。

私自身も、コロナ禍の現在は通訳の回数が激減しました。対面通訳もありますが、私はリモート通訳の方が多くなりました。

ここでは、①私が経験したリモート通訳、②リモート通訳環境、③リモート通訳での失敗談と難しいと感じる点、④これから環境整備をする人のために、リモート通訳にお勧めの環境についてお伝えします。

①私が経験したリモート通訳

私が経験したリモート通訳の回数や実施場所、通訳形態、時間帯について簡単にまとめました。

インドネシア語通訳業界におけるリモート通訳の案件数についてですが、絶対数が異なるので当たり前ですが英語ほど盛んではありません。

私自身は、2020年12月に初めてリモート通訳の業務がありました。その時から現在までのおよそ半年で合計18回のリモート通訳がありました。

この数がインドネシア語通訳者の中で標準的なのか、多いのか、少ないのか、見当がつきませんが、自宅で行ったリモート通訳が7回(以下、「自宅リモート通訳」、出先で行ったリモート通訳(以下、「出先リモート通訳」)が11回ありました。出先リモート通訳のうち、東京や東京周辺で行われたものが数回ありました。

出先リモート通訳の実施場所は、以下の通りです。
●クライアントやエージェント指定のレンタル会議室が2回(うち1回は同時通訳)
●エージェントの遠隔同時通訳用専用ルーム(RSI)が1回
●クライアント、あるいは関係機関の会議室が8回

表にしてみます。

昨年12月からのリモート通訳実績

自宅 出先
令和2年
12月
映画トークイベント
令和3年
1月
集合研修 Web会議
2月 Web会議A(同時通訳)
Web会議B
美術系トークイベント
3月 ウェビナー(同時通訳)
4月 Web会議
講義2回
5月 美術系トークイベント2回 講義3回
6月

美術系トークイベント3回

 

自宅リモート通訳の場合、メインスピーカー、オーディエンスともに遠隔となります。一方、出先リモート通訳の場合は、メインスピーカーである講師が同じ部屋にいるケースと、主なメインスピーカーも日本(各地)もしくはインドネシア(各地)におり、司会者が同じ部屋にいるか、近くの部屋にいるというケースがありました。

英語の通訳者は、時差の関係でさまざまな時間帯に業務があるそうです。早朝だけでなく、日中もあれば、未明にも。ただでさえ集中力を必要とする業務に、そのような時間帯に通訳をこなす体力と気力にただ敬服するばかりです。

ありがたいことに日本とインドネシアの時差は最大2時間ですので、インドネシアからの参加者がいる場合は、日本時間の昼の11時に開始し、夜7時に終了するという時間帯に行われました。

また、英語の通訳者が経験されている「通訳者それぞれが自宅からリモート同通をする」ことは、現時点では私はまだ経験がなく、同時通訳者同士が同じ部屋にいる、という案件のみでした。(今後は、インドネシア語の案件でも増えていくと思います。)

通常の通訳業務と比べるとリモート通訳の方が疲れやすいと思います。ですから、対面通訳よりも通訳時間が短い案件であっても、終了後は対面通訳よりも疲れます。

機器による不具合もさることながら、事前に確認してあっても人的ミスは起きやすく、気を遣うということもあると思います。そのほか、通訳中にゲストスピーカーやオーディエンスの反応を感じにくいことも関係していると思います。

通訳者は、翻訳者よりも、現場の緊迫感や盛り上がり、ライブ感を味わいながら業務をすることが楽しいのではないでしょうか?私自身はそういうタイプですので、通訳をしている際に現場感をあまり感じられないリモート通訳はもどかしくなります。

②-1 リモート通訳環境~接続環境~

次に、リモート通訳環境についてお伝えします。接続に関する環境と、部屋や機材の環境のふたつに分けます。

これまで使用したプラットフォーム
1) interprefy(遠隔同時通訳用プラットフォーム)
2) Zoom以外のweb会議システム。クライアントやスタッフが司会をしながら隣でパソコン操作をし、私は会議用マイクで通訳をする。
3) Zoom

Teams、Google Meetなどを使うケースも聞いていますが、自宅リモート通訳はすべてクライアントからの依頼でZoomで行いました。出先リモート通訳でもZoomが多かった印象を受けています。

●接続方法
Zoomをはじめとするweb会議サービスに慣れるまでは、日本でもインドネシアでも、会議中にスピーカー(話者)のパソコンやスマホが落ちてしまったり、フリーズしたりすることがありましたが、最近はそのようなことはめっきり減りましたが、まだ完全になくなったわけではありません。

WiFiが不安定な時には音声が聞き取りにくい場合がありますが、これについては毎回冷や冷やしています。また、インドネシアでは雨など気候条件によってはWiFiが不安定になりやすいため、インドネシアと日本間で繋ぐ際に気を付けている事前対策の一例をお伝えします。

例えばZoomをメインとした場合、インドネシア側スピーカー(話者)のZoomもしくはパソコン回線等に問題が生じたときのためのバックアップ(サブ)として、インドネシア側スピーカーのスマホと以下の方法で繋いでおきます。

①出先リモート通訳でゲストスピーカーがインドネシア人の場合:WhatsApp
②出先リモート通訳でゲストスピーカースピーカーが日本人の場合:LINE
③自宅リモート通訳の場合:Google Meet

さまざまなケースが考えられますので、状況によってはもっと良い案もあると思います。こうしたことに特別詳しいわけではない私が、英語通訳者の方々にお知恵を拝借し、インドネシアに特徴的なWiFiが不安定であるという問題を考慮したうえで関係者と話し合った結果、現在のところ、ゲストスピーカーがインドネシアにいる場合には特に上記の選択肢が有効だと考えています。

それぞれメリット、デメリットがあります。私個人のスマホでWhatsAppやLINEを使うことは個人情報の観点から望ましくないと考えておりますので、例えば、出先リモート通訳では、クライアント側のスマホを用いてWhatsAppやLINEなどで繋ぐという方法があります。逆に、自宅リモート通訳の場合は、Google Meet等で繋ぎます。 

●接続確認
さて、その次に接続確認をします。問題なく回線接続ができていることと、ゲストスピーカー、司会者、通訳者間で音声がクリアに聞こえていることを確認します。

メインもサブもどちらも繋いでおきますが、ハウリングを避けるためにスマホ側の音声およびスピーカーをオフにしてもらいます。まず、メインのZoomで音声に問題がないことを確認します。その後、Zoom、もしくはパソコン回線で問題が生じた場合を想定して、Zoomの音声をミュートにしてもらい、スマホの音声を確認します。通訳者も司会者も同様に、片方は必ずミュートにしておきます。

その状態で音声が明確に聞こえていれば、通訳者は、万が一Zoomやパソコン回線で何かが生じた場合であっても、別回線で音声を確保できる可能性が高くなります。インドネシア側にパソコンでZoomとGoogle Meetの両方を立ち上げてもらわない理由は、別回線で準備するほうが安全だと考えているためです。

この接続確認ですが、本番で使用する機材を使って、本番と同じ場所でやるからこそ意味があります。ところが、事前の接続確認は個人のスマホや自宅のパソコンで行い、本番では事務所のパソコンや備品のパソコンを使うというケースが、比較的頻繁にありました。

使う機材が異なると、操作に慣れていない場合があります。他にも、例えば自宅のパソコンと事務所のパソコンのいずれも内蔵マイクを使用して接続する場合、ゲストスピーカーは、これまでどちらも問題がなかったから大丈夫だと判断する場合があります。しかし、マイクの性能は異なるものですので、音声の聞こえ方は変わります。

接続確認時は電波が良い場所にいて音声が安定していることを確認したのに、その場所では環境音を拾いやすいという理由で、本番ではテラスに移動した方もいました。当然、電波が遠くなってしまい、音声が聞き取りにくくなっていました。

事前の接続確認ではさまざまな項目を確認をするため時間がかかるのですが、本番のリスクを考えると、確実に行うべきプロセスだと考えています。

●何のために接続確認を行うのか

仕方のないことですが、ゲストスピーカーは自分が明瞭に話していれば、その声を自分でモニタリングしない限り、相手にも明瞭に届くと思ってしまいがちです。

現在までさまざまなケースを経験しましたが、最近では、インドネシア側で「web会議には慣れた。もう大丈夫」と考えている方が多いように感じています。「Web通訳に慣れたから大丈夫」ということと、「通訳をするためには音声がクリアに聞こえる必要がある」ことは別問題です。聞こえない音声は訳せないということを理解していただけると、もう少し接続確認に協力的になっていただけるのかもしれません。

通訳者はスーパーマンではないので、誠実に通訳を行うためにも、ゲストスピーカーご自身に、スタッフが担当している場合はスタッフに、音声がクリアに聞こえる環境を作り出す重要性を理解していただく必要があります。

②-2 リモート通訳環境~部屋や機材の環境~

今度は、接続以外の観点からリモート通訳環境についてみてみましょう。

通訳環境をさらによくするボリュームコントローラーやスイッチャーなどの便利なガジェットもありますが、ここでは基本的な通訳環境についてお話します。

リモート通訳には関係なく以前から所有していたものもありますが、「吸音パネル」、「イヤフォン」、「USB接続のヘッドセット」、「いいマイク」は、自宅でも出先でも持っていてよかったと感じましたので、こちらにまとめます。

1.自宅での使用方法
先ほどは、ゲストスピーカーの音声が確実にクリアに聞こえるようにするための接続確認の説明をしましたが、同時に、通訳者側もオーディエンスに確実にクリアに音声を届けるために音声環境に気を配る必要があります。

まずは、環境音を拾わないという点についてですが、環境音、特に外からの音声については、エージェントにクレームがくることがある、と聞いています。

私の仕事部屋の窓は二重サッシになっており、外の音は入りにくいのでその点は助かっています。とはいえ、豆腐の移動販売車から大音量で音楽が流れてくる曜日がありますし、冬には灯油の移動販売車からの音楽や音声が流れてきます。

二重サッシでも十分に聞こえる音量ですので、マイクがその音声を拾ってしまう可能性はあります。ですから、窓に防音パネルを貼った箇所がありますし、必要に応じて吸音パネルも使います。卓上用の吸音パネルですが、自宅で使用する際は邪魔になるのでスタンドに取り付けて使用しています。

音量やマイクとの距離にもよりますが、エアコンなど音が出るものを使用するときにも安心かもしれません。吸音パネルでなくても、他の方法で対応することもできると思います。いずれにしても、環境音を減らすために何らかの対策を取ることは必要だと思います。

その他、電話の呼び出し音、玄関の呼び鈴の音はNGですので、固定電話の電話線を抜きました。玄関のインターホンはその固定電話で音がなる仕様になっていたので、電話線を抜くことで同時に玄関の呼び鈴対策もできました。

ちなみに、抜いた方の電話は仕事用の電話回線ではないので、電話線を抜いても仕事に差し支えありませんでした。

パソコンは、スペック面でも安心なメインのパソコンのほかに、バックアップ用にノートパソコンもつないでいます。どちらも無線LAN接続から有線LAN接続に戻し、ケーブルはカテゴリー6のものに替えました。

また、声がきれいに聞こえるいいマイクを使っています。本来の音声以上にきれいに聞こえるわけではありませんが、音声はクリアだと思います。口元から多少離れた距離でも音をきれいに拾います。

音はよく拾いますが、アームで吊っているので、通訳をする際の資料やメモ用紙の紙めくり音は聞こえますがそれほど気にならないことを、クライアントから提供された記録用録音音声で確認しました。

メインで使用しているいいマイクは、外して出先リモート通訳に持参することがあります。帰宅して再度取り付ける際に、設定か何かがうまくいっていないことがあります。そのような時には、USB接続のヘッドセットをつなぎます。

いいマイクとして、私はBlue社のYetiを愛用していますが、他のマイクでも大丈夫です。このマイクについては、便利な使用方法がありますので、改めて書きます。

イヤフォンは、メイン回線はパソコンでつなぎ、もう一つをスマホでWhatsAppやLINEに繋ぐ場合に必要ですね。私はつけ外しがしやすいものを使っています。

2.出先での使用方法
出先リモート通訳の際、気になったのは部屋の大きさや環境などでした。いわゆる会議室は、カーペットが敷いてあり、たいてい問題ありません。

そうではなく、リモート通訳用に、作業室、小部屋、レンタル会議室などを使うことがあるのですが、その中には、カーペットが敷いていない、スチールキャビネットが多い、ブラインドはあるけれど窓にカーテンがないというような部屋があります。

このような部屋は音が反響しやすく、オーディエンスには声が聞き取りにくくなる可能性があります。電話通訳の際に、そのような部屋から電話があると、音が反響して聞き取りにくく、ストレスになるという経験からそのように考えています。

そのため、部屋の様子を事前に確認し、必要だと感じられた際には、かさばりましたがポータブルの吸音パネルを持参しました。

「使用した場合」と「使用していない場合」で検証したわけではありません。しかし、リモート通訳用の部屋では、ものすごい音量の工事音が外から聞こえ、声を張り上げないといけない状態だった時も、部屋が線路のすぐ前で電車が頻繁に行き交う時にも、司会者やオーディエンスに確認したところ、騒音は全く聞こえず、音声がクリアだと言われました。

ひょっとしたらいいマイクのおかげだったかもしれませんが、状況を考えると吸音パネルの効果だと思われます。

音声トラブルには、接続不良や電波の問題もありますが、クライアントの中には、マイクの重要性を認識していない場合があり、出先の備品機材ではスペック不足のことがあります。

会議用のマイクは特に問題はなかったのですが、備品のノート用パソコンの内蔵マイクに頼っているような場合には、私が愛用しているいいマイクを持参します。少々かさばり、重いので毎回持参するわけではなく、移動距離や他の荷物にもよりますが、持参して大成功だった事例がありました。とにかく、マイクについては改めて書きますね。

USB接続のヘッドセットは、Sennheizerのものを使っています。出先リモート通訳で、ヘッドセットのスペックがあまり良くない場合や、パソコン内蔵マイクで十分だと考えているクライアントでyetiを持っていけない場合はもちろん、yetiを持参する際も、万が一のトラブルに備え、準備します。

出先リモート通訳でも、上記のようにバックアップ回線としてのスマホ用にイヤフォンを持参します。

環境整備の重要性

通訳者や翻訳者にとって、辞書はお金で買える実力だといいますが、リモート通訳時代である今は、音声面の環境整備も同じような意味合いを持つと考えています。

実力はもちろん重要なのですが、実力があっても音声をクリアに届けることができないとしたら、大変残念なことだと思います。お金で買えるもので、自分の音声をクリアに伝えることができるのであれば、いいマイクなどに投資する価値があると思います。

接続不良や不測の事態は起きるものなので、完璧な備えというものはないと思いますが、二重、三重に状況を想定しておくことは大切です。

③リモート通訳での失敗談と難しいと感じる点

リモート通訳は、当初は依頼する側にとっても初めての経験だったケースが多く、お互いに失敗を重ねました。知っていたら未然に防ぐことができそうな失敗をお伝えします。

失敗談~その1
Zoomには同時通訳機能があります。私が設定するわけではないので、詳細は分からないのですが、そこでは、通訳者権限という形で事前に通訳者を登録するそうです。

その際に、メールアドレスを登録するそうなのですが、それまで通訳業務上のやり取りをしていたメールアドレスと、私のZoomアカウントのメールアドレスが異なっていたため、招待されたURLに入れないということがありました。

私のZoomアカウントでないと入れないわけではないと思うので、なぜそうなるのかは実はまだ理解できていないのですが、その時はそれが原因で入室できませんでした。主催者側が、私のZoomアカウントに用メールアドレスで再度登録した後、無事に入室できました。

接続確認の段階で判明し、運よく、主催者側も隣の部屋にスタンバイしていたので良かったのですが、自宅からの同時通訳の際にこのようなことが起きたら、直前の緊張感が不要に高まりそうです。

失敗談~その2
ミュートのまま通訳をしてしまったことがありました。これは、出先でも、自宅でもやってしまいました。

出先では、私が通訳している音声が聞こえないということで、司会者と隣にいた同時通訳者が慌てました。

Zoom画面上ではミュートアイコンになっていなかったので原因が分からず、接続不良であればどこかのタイミングで音声が入るかもしれないと期待して通訳を続けました。機転を利かせたパートナーの通訳者からヘッドセットを渡され、それを使用したところOKサインが出たので、通訳を続けました。

結局、他の方が通訳をしている時にようやく、最初に使用していたヘッドセットの口元にあるミュートボタンを押したままだったことに気が付きました。

先方から提供されたパソコンが小さく、マウスも動かしにくく、クリック操作がしにくかったので、とっさに手元で操作していたことをすっかり忘れていました。

出先リモート通訳で、同時通訳3人体制でしたので、主催者はレンタル会議室まで自分たちが使用する機材も含めて複数のパソコンやらヘッドセット等の備品を持ち運んでいました。

ですから、小さい機材だった理由は分かっているのですが、思わぬ落とし穴となりました。次からは気を付けようと肝に銘じました。

失敗談~その3
肝に銘じたはずだったのに、しかも、使い慣れているはずの機器を使っていたにもかかわらず、ミュートボタンを押した状態で通訳をしてしまう、という失敗を自宅リモート通訳でもやってしまいました。

通訳を始める際にマイクを近づけるのですが、その際に、マイク本体にあるミュートボタンに触れてしまったことに気が付かないまま、通訳を始めてしまいました。

その際も、Zoomの画面ではマイクボタンが表示されているので、すぐには気が付きませんでした。

その2の時と同様で、本体にあるミュートボタンのサインが視界に入ってませんでした。この時は司会者の方からすぐにチャットで連絡があり、慌てて確認しました。

難しいと感じる点
これまでにも書いてきましたが、音声がクリアに聞こえないことがストレスになります。音声が乱れたり、ゲストスピーカーのマイクの性能があまりよくなかったり、その二つに問題がなくてもスピーカーが横を向いて話し出したりすると、頭を抱えたくなります。

また、通常の通訳であれば気にする必要がないことに気を遣う必要があるので、通常の通訳よりも疲れます。リモート通訳では移動の時間がないだけでなく、イベント自体も2時間程度のものが多いのですが、対面通訳よりも疲れます。

ゲストスピーカー、オーディエンスと同じ場にいないことで、非言語情報や場の空気を感じにくいため、通訳は難しくなると感じています。たとえ、非言語情報などを得にくくても、原稿などの文字情報があればそれで補うことができるのですが、文字情報も不足している場合には難易度が高くなります。そのようなこともあり、事前に関係資料を出していただきたいのですが、特にインドネシア側がゲストスピーカーの場合はそれがうまくいかないケースが往々にしてあります。

④これから環境整備をする人のために、リモート通訳にお勧めの環境

私は以下の7つが必要だと思っています。

1 いいマイク      ⇒ Yetiについては次の機会に説明します
2 マイク用アーム    ⇒ Yetiならですが、机の上にあると紙めくり音を拾います
3 防音パネル      ⇒ いざという時に頼れる相棒です
4 パソコン2台体制   ⇒ 最低限パソコンとタブレット端末が必要です
5 広いスペース     ⇒ 資料を広げるとキーボードが邪魔になります
6 好みの通訳用イヤホン ⇒ リモート通訳に限りませんが、通訳者の必需品ですね
7 健康体        ⇒ これが一番です

最後に

まだ新型コロナウィルスをめぐる状況はまだ不透明です。リモート通訳は、参加者が一か所に集まらず会議やイベントを開催することができるというメリットがあるため、新型コロナウィルスが収束した後も継続して依頼される可能性が高い通訳形式ではないでしょうか。需要は今後も増えると考えられますので、リモート通訳に必要な環境を整備していくことは得策だと思います。

依頼を受けてから機材を準備し始めるよりは、必要だと思うものから順に検討を進めるのが良いと思います。使い慣れている機材であっても、あれもこれも考えながら通訳を始めると、私がやったように、初歩的なミスをすることもあります。リモート通訳を念頭に入れていらっしゃる方にとって、私の失敗を含め、こちらに記した内容が参考になればと思いました。特に、英語とは事情が異なるため、インドネシア語のリモート通訳の場合、という視点でまとめる意味があると思いました。

この半年ほどで対応したリモート通訳の半分ほどは以前からの継続案件で、ほかは新規の案件でした。新規の案件には、エージェント経由の新規の案件、ペアを組む相手として同業者からの推薦、元同業者からの紹介がありました。私ひとりで、このように様々なリモート通訳業務を得られたわけではありません。また、普段から英語通訳者の方にいろいろと教えていただいております。私のアイディアだけではありませんので、さまざまな機会を作ってくださった関係者のみなさまに感謝しております。