2021年春期講座終了

「開講中の講座は、現在このように進めています」という報告をするつもりでいましたが、気が付いたら、10回分が終了してしまいました。

月並みですが、毎回、不安と期待の入り混じった気持ちで始まり、10回が終了すると、熱心な受講者に恵まれて、無事に終了したという安堵の気持ちに包まれます。

受講者アンケートは後日ご紹介します。
本日は、今回は主催者として何を目的にどのように心がけてきたのか、簡単にお伝えします。

実施した講座は次の3講座でした。「読解講座」、「通訳するなら知っておきたいインドネシア語上級文法」、そして、「旅行会話」。

読解講座

「読解講座」では、300~500ワード程度のインドネシア語の課題が1週間前に出されます。各自分からない単語を調べたり、文の構造を考えたりしながら日本語訳をつくります。

今期は音読にも力を入れました。単語の発音や文の切れ目、文のつながりを意識する、など、気をつけることをマテリアル配布時に伝えます。各自、それを意識しながら音読をします。言葉は、音楽と同じで、流れがあるものだと思います。ぶつぶつ、切りながらしか読めないと、筆者が伝えようとしていることが流れとして伝わらないように思います。そうした思いから、文の流れを意識して読む練習をしてほしいと考えました。

当日は音読してもらい、それを聞いて、声に出して読む際に気をつける点を伝えます。日本語を聞いて、受講者の方の理解が間違っている場合は、なぜそれを間違えたのかを解説します。本文が良くない場合もありますし、受講者が違う単語と間違えていたり、まだ知らない用法であったり、理由はさまざまです。

受講者の頭の中でこんがらがった紐をほどくように解説をします。最後まで読み切ることが難しくても、解説を聞くことで、改めてマテリアルを読み直した時には、内容が理解できるようになるのではないか、と考えてこの流れにしています。人によって感じ方は違うと思いますが、意味が分かったら楽しいだろう、と私は考えています。

たったの10回ですが、10回の間にも受講者の方々の力がついていることは感じます。用いるマテリアルは毎回、テーマや視点、流れなどがそれぞれ異なりますので、受講者自身が実力がついていることは実感しにくいかもしれませんが、以前に聞いたこの説明が、今回のマテリアルで理解できた、というようなこともあります。

解説をし、不明点はその都度質問をしていただくという、何の変哲もない、まじめな時間なのですが、受講者の方には、分からなかったことが分かるようになって楽しいと言っていただけています。

この講座は、秋期も10回講座として9月から12月にかけて実施します。

「通訳するなら知っておきたいインドネシア語上級文法」

長い名前のこの講座は、今回初めて開講しました。レベルチェックテストの結果、「通訳基礎1」にはもう一歩という方が多かったため、「通訳基礎1」につなげる位置づけにしました。

この講座では、「通訳するなら知っておきたいインドネシア語文法」についての解説、逐次通訳の練習(日⇒尼、尼⇒日)、単語テストを実施しました。

単語テストは、毎回テーマごとに覚える単語が課題として出されているので、その範囲の単語テストをします。実際の通訳の現場では、直前に資料が送られてきて、当日には専門用語を使えるようにしないといけません。単語テストではそれをイメージして、短期集中のボキャビル練習として行っています。毎回、8割以上の正答率になることを求めました。

「通訳するなら知っておきたいインドネシア語文法」というのは、この文法が理解できていないでプロとしてお金をいただくのはどうか?と私が思う内容を選び、お伝えしています。

知らなければ、間違っている用法であっても堂々と使えます。例えば、「今日は暑いの日ですね」という外国人がいたとします。間違えたからと言って目くじらを立てることではありません。ただ、それがプロの通訳者だった場合、専門用語が完璧に分かっていたとしても、「これを間違えるの?」と感じませんか?それが長い話の中で1回や2回であれば構わないでしょう。ただ、何度も気になる表現が出てきたらどうでしょうか?

専門用語を覚えるのは大変なことではありますが、その場に身を置くと、火事場の馬鹿力で意外にできてしまうものです。むしろ、使いこなせないことが不思議に思えるような、一見何でもないような表現を適切に使いこなすことの方がずっと難しいものです。

そのような表現について解説したインドネシア語のテキストが少ないから、なかなか気が付かないのかもしれません。理由は分かりませんが、よく耳にする表現の中で「ちょっとこれは?」と思うものがありますので、なぜそれがおかしいのか解説します。

受講者の方は「知っているようで知らなかった」とおっしゃるのですが、私も「何かがおかしい」と思い、長い時間をかけて少しずつ気が付いていったことばかりです。

試験の「傾向と対策」のような形で手っ取り早く教えてもらいたいと思う方もいるかもしれませんが、残念ながら、それはできません。なぜなら、文脈によって異なることが数多くあるからです。「文脈によってどう異なるのか」を手短にお伝えすることができないため、「通訳基礎」の講座とは別の講座を設けました。その代わり、なぜこの点について気をつけないとおかしいのか、段階的に説明し、理解していただいています。

この講座では「できるようになること」ではなく、「知ること」を目的としています。頭では理解できても、使いこなせるようになるまでにはある程度の時間が必要だからです。その代わり、どのようにしたら確実に自分の引出しが増えるのかという方法についてはお伝えしています。

ここで学んだ文法の知識のおかげで、なぜこの場面でこの接尾辞がここで使われているのかが分かり、インドネシア語を読んだり聞いたりしたときの情報量が今までよりも多くなった、という感想をいただきましたが、そうすると「知ること」で、訳出のレベルが変わることは明らかですね。確実に通訳レベルは上がるでしょう。

逐次通訳の練習は、購入していただいたテキストの文章を扱ったり、私のオリジナルの文章を元に行っています。

逐次通訳後すぐにフィードバックをします。選ぶ単語はそれで良いのか、他にはどのような選択肢があるのか、流れが良いのか悪いのか、元の文章のポイントを掴んで訳出できているのか、ソース言語の文章に引きずられてターゲット言語で変な文章になっていないか、話が捏造されていないか(元の文章にない話になっていないか)、極端に要約されていないか、などフィードバックする点は受講者のレベルに合わせて様々です。

どの受講者も、10回の間で逐次通訳のレベルの力は上がりました。指摘されたことについて、受講者の皆さんが普段から気をつけるようにされた賜物だと思います。このような素直で勉強熱心な姿勢を、私も失わずに持っていたいと毎回感じました。

秋期は「通訳基礎1」を9月~12月にかけて開講する予定です。長い名前の本講座を開講するかどうかは検討中です。

旅行会話

こちらは、ホラス由美子さんの「インドネシア語スピーキング」をテキストに第1課から最後まで、受講者の方と一緒に、音読し、ロールプレイをし、最後はシャドーイングをする、というやり方で進めました。

このテキストの会話文は、丁寧で、かつナチュラルな言い方が多いと思います。毎回、文法項目に合わせた文章で会話文が作られているので、部分的に流れが不自然なところもありますが、教材としてはよくできていると思います。

インドネシアに長く滞在されている方、1年に1~2度インドネシアに旅行に行くのを楽しみにされている方などが受講され、次にインドネシアに行く時はこの表現が使えるようになるといいなぁ、というような穏やかな雰囲気のなかで、インドネシア語を声に出す練習をしています。特にコロナ禍の今は、声を出して相手と話す機会が減っているため、インドネシア語の発音を意識しながら声に出す時間は貴重だと大変好評です。

実は6月でこのテキストを2周終わらせましたので、次回は別のテキストを検討しています。これまでは受講者の都合が合う日に開催するという不定期な形で開催していましたが、7月以降も同様に開催していく予定です。テキストは現在検討中です。

予告編:短編小説(cerpen)を読む講座

こちらは、7,8月限定5回で完結する単発講座です。

これまで、KOMPAS紙の記事を読むことが多かったのですが、短編小説など別ジャンルのものに触れる機会をつくれないか、長く考えていました。KOMPAS紙の日曜版を読んで探しましたが、私の講座で扱うマテリアルとしては単語や内容がやや難解なものが多いと感じました。また、システム上の問題だと思われますが、日本で入手できるe-bookにも限りがあり、教材としてふさわしいものを見つけるのに苦労していました。

今回、ある作家に連絡を取り、承諾を得ましたので、1作をテキストにし、5回で1話を読み終えるという流れで短編小説を読む機会をつくることにしました。

作家自らがその作品を音読し、講座では、その音声教材も使用します。読み方も味わいがあります。

短編のサンプルなのでほんの少々になりますが、後日、ブログにてテキストと音声のサンプルを確認していただけるようにします。詳細もその時に改めてお伝えします。

おわりに

ブログに書きたいことはいろいろあるのですが、なかなかブログまで手が回りません。

来週くらいには受講者アンケートをまとめますが、他に、これまで行ってきたリモート通訳の経験に基づいて、インドネシア語における「リモート通訳をめぐる事情」や、インドネシア語ブログの第2弾を執筆したいと考えています。