受講者アンケートより~2024夏「短編小説を読む」講座By 岩田 晶子 / 2024-09-11 “Dua Keris”の著者であるSatmoko Budi Santoso氏(2024年9月ZOOMより撮影) 2024夏「短編小説を読む」の特徴 この講座では、Satmoko Budi Santoso氏の短編小説 “Dua Keris” を読みました。2024年8月から9月にかけて4回のオンラインセッションのほか、著者を交えた懇親会を実施しました。 受講者は4名で、うち3名は昨年も同講座を受講され、1名が新規の受講者でした。魚躬圭裕さん(20代後半男性)、M.W.さん(40代女性)、Cさん(40代男性)、ほか1名でした。ご受講いただきありがとうございました。 アンケートには全員から回答が得られましたが、HP上で紹介しないことを希望した方がいらっしゃいますので、そのように致します。全員が全ての会に出席しました。受講者のインドネシア語学習歴もインドネシア滞在歴もともにバラエティに富んでいましたが、難しいながらも楽しく進められたと思います。アンケートの声としては紹介しませんが、受講者のインドネシア語運用力等には差があったかもしれませんが、全員が楽しまれていました。 受講の決め手 リピーターの方々は、Satmokoさんの小説を読むことも、受講者同士のやり取りも楽しみにされていたと思います。 著者との懇親会 懇親会と称して、最終日に著者をゲストに迎えたセッションを設けました。その感想は以下の通りでした。 今回は作品の中で前提としている内容で、意外な部分がやや多くありました。著者が説明した際に、ベールがめくられるように新たな情景が浮かんだと感じたのは私だけではなかったと思います。クリスについての予備知識の違いはもちろんのこと、生活習慣、健康状態、人間関係について私たちが想像できなかった違いも明らかになり、Q&Aセッションがいつもに増して面白かったです。これは、意外な部分が多かったからなのかもしれませんね。 懇親会での通訳 懇親会では、毎回通訳の必要性の有無を確認しています。これまでは、ご自身のインドネシア語力を試したい方と、自分のやり取りだけ通訳してもらいたい方がいらっしゃいましたので、一部だけ通訳していました。今回は、Satmokoさんの発言もすべて通訳してほしいとのリクエストがありましたので、受講者の質問もすべて通訳しました。 「沐浴」という単語がベストワードであったかは別の問題ですが、文脈を生かした訳でした。 個人的には、通訳を依頼できる機会があるのであれば、そうするのが良いと思います。ここにも、「タイムラグがないかのように意思疎通ができた」とありますが、トークイベントと同じ状況だと思います。とても贅沢な時間だと思います。 通訳は、場面によって用いる単語や表現が全く異なります。今回は和気藹々とした場面でした。そのような親しさが感じられるやり取りを聞く機会はあまりないと思います。 背景知識の有無 同じ文章を読んでも、背景知識の有無によって読み取れる情報量や想像できる世界が異なります。ですから、このように背景知識が増えていくプロセスを大切にしたいと考えています。 日本語にするプロセスについて いくつかの段階を経て日本語にするように指示しました。ここに記載されている回答のどれもがその通りだと思います。 学び 学びというのは、それぞれの受講者の問題意識が顕在化したものではないでしょうか。考えてもいないことは、学びとして言語化されないと思います。今回、3名の回答を読んで、このように意識されていることに刺激を受けました。ふたつ目の意見ですが、上手にまとめてくださってありがたく思います。受講された全員が納得されると思います。また、1人目と3人目の方は、どちらも同じく本質的なことを突いていると思います。深く頷きながら読みました。これもまた、全員が納得されると思います。 補足 追加があれば、という項目に記載されていた内容です。この講座で目指していることを、ご自身の感想を交えながら簡潔にまとめていただき、感謝しています。何が問題で分からないのかをひとつずつ確認することは大事だと考えています。まずは人に頼らずに取り組む、そして、意見交換や質疑応答で他の人の意見を確認する、最後に本人(著者)に聞く、というプロセスを踏んで短編小説を読むことは他では体験できないことだと思います。また、分からないものを分かるようになる過程や、分からないこと自体を楽しむことも、私は大切だと考えています。学習者の立場で考えると、すべてが明らかになった方がすっきりするものですが、世の中何でも割り切れるものではありません。小説であればなおさらで、10人いれば10通りの受け止め方がある、あるいは理解するのに時間を要する、だから面白いのだと思います。その点も伝わっているようで、嬉しく思いました。 次回の短編小説 毎年、夏と冬に開講しようと考えています。2025年の冬は、2月から3月にかけて、土曜日か日曜日に4-5回で実施することになると思います。ご興味のある方は、メモしておいてください。