受講者アンケートより~2023夏「短編小説」

参加者

今回の参加者は、魚躬圭裕さん(男性、20代後半)、Nさん(男性40代)、Mさん(女性40代)の3名でした。

受講の迷いと決め手

今回は受講を迷われていた方がいらっしゃいました。

毎回講座の受講を迷われる方がいらっしゃいますので、受講者の回答を読んで、講座の雰囲気などを想像していただけたら幸いです。

通訳等に有益であれば迷わず受講したが、有益ではないと考えていたということですね。そのような判断をされる方もいらっしゃいますが、雑学や豆知識、ちらっと聞いて知っていたような何ということもないような知識でも通訳の現場で役立つことは想像以上に多くあります。

お金と時間は無限にあるわけではないので、効率を求めるのであれば「短編小説」の講座は選択肢に入らないかもしれません。

とはいっても通訳をするのであれば、言語を扱うわけですから社会文化的背景が直接関わります。したがって、効率とは別の物差しを持っているとより円滑な通訳ができるチャンスが増えると私は考えます。

インドネシアの人がインドネシアでの出来事をどのように表現しているのか、興味を持っていただけたら嬉しく思います。

受講の決め手については、私の講座の進め方が合うと感じた方々だと理解しました。他にも受講したかったが日程が合わなかったという声もいただきました。

ご都合が合うようでしたら、冬期の講座をご検討ください。

講座に対する期待

上記の期待をもって受講されたことが分かりました。

次の「期待に対する満足度」と比較すると明確になりますが、「作者による朗読」や、「作者に質問できること」については特に期待していなかったけれど、実際にやってみたらとても良かった、ということになりますね。

期待に対する満足度

講座の説明を読んでもつかみどころがないと感じたが、参加してみたら期待以上に満足した、ということだと思います。

これは、参加者の顔触れを見て進め方を変えているため、講座案内の段階では狙いや進め方などを明確化できていないからだと思います。

「短編小説」の講座は、今後も参加者の顔触れを見ながら進め方を決めますので、予想がつかないところも楽しんでいただくことになると思います。

懇親会の魅力

「短編小説を読む講座」では、最終日に作者とのオンライン懇親会の場を設けています。ご自身で質問していただいても構いませんし、途中から私が介入するというような形でも行っています。

今回は、抱いた疑問について参加者がインドネシア語で質問しました。

インドネシア特有の事情やワヤンに関するものなどのうち、背景知識が不十分だから理解が及ばなかったことについては、「あ、そういうことか!」と気づきました。

ほかに、「それについては、このように口頭で説明してもらわなければ、文章を読んでいるだけでは全く分からない」と感じたこともありました。作者自身が「自由に解釈をしてよい」と考えているものの、作者としては確実に伝わると考える内容で、日本との社会文化背景が異なるため、私たちが作者の意図通りに理解できないことがあることも分かりました。

何度も直接確認できる機会があったからこそ、作品をさらに深く楽しめたと思います。

ジャワの社会や文化的背景

背景知識や予備知識の有無がどれほど作品の鑑賞に重要だったのかを質問しました。

どの回答にも納得がいきますが、この中で最も共感するものをひとつだけ選べといわれたら、一番目を選びます。

通訳として、という視点から離れて考えることができないからかもしれませんが、背景が分かれば分かるほどひとつの情報の意味や位置づけなどがより明確になりました。

通訳も背景知識や予備知識が重要といいますが、背景知識の有無によって聞き取れる単語の量や質も、話者が意図しているメッセージの解釈も変わります。

単に鑑賞者としてだけであれば、余計な先入観を持たずに作品を鑑賞するというのもひとつの楽しみ方だと思います。

一方、通訳をする立場で考えると、話し手のメッセージをしっかりと受け取るためには、さまざまな背景知識を持ち合わせていることは重要です。この作品をきっかけに、私もいくつかの書籍に目を通しましたが、普段からもっと貪欲に学ばないと相手のメッセージを受け止める力が不十分になると反省しました。

自分の世界観を大切に

これまで、原文のひとつひとつに躓いて先に進めないという受講者がいらっしゃったので、あまり細かいことを気にせず、自分なりに小説を楽しんでほしい、という意味で自分なりの世界観を大切にしてほしいと伝えました。

それぞれの感想に個性が表れていますね。

楽しかったことは?

どなたも同じことを書いていらっしゃいますね。私も同様に感じました。それぞれが感じたことをうまく言語化していたからだと思います。また、相手の意見を丁寧に聞いているように感じました。

朗読の感想

全員が音声教材を毎回聞いたと回答していました。その理由が以下の回答となります。

まずは、Satmokoさんのストーリーテリング力というのか、語り口がいいですね。味わい深いです。

そして、音声を再生しやすいように工夫したので、それも良かったと思っています。素材の良さを十分に生かすことができたと思います。

意見交換の良さ

今回は意見交換に重点を置いて講座を進めましたが、意見交換が今回の受講者の満足度につながったとも思います。

受講者はどなたもしっかりと読み込んで、自分なりの答えをもって参加していたこと、自分の考えを述べ、相手の意見に耳を傾けていたことが良かったのではないでしょうか。

分からない個所について、人に答えを示してもらおうとするのではなく、自分の判断根拠を信じ、文脈から状況を想像するプロセスを経験するという内容にしたいと考えていたので、狙い以上の結果だと思いました。

皆さんの取り組みに拍手をお送りします。私も大変楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました。

次回は2024年冬に「短編小説を読む講座」を開講します。秋期講座が遅く終わりそうなので、1月末か2月の実施になりそうです。ご興味のある方は年明けくらいにブログをご覧ください。

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