受講者アンケートより~2025秋「通訳基礎1」By 岩田 晶子 / 2026-04-06 2025秋「通訳基礎1」の特徴 「通訳基礎1」の秋期講座は、2025年10月から2026年2月に実施しました。受講者は、フリーランス通訳者Aさん、(40代)、フリーランス通訳者Bさん(40代、女性)、Yさん(30代、女性)、会社員Cさん(20代、女性)の4名でした。新規がお一人、ほか3名は継続受講者でした。 期待 アンケートからは、語彙力強化(2)より適切な訳出現状把握と今後の学習方針を明確にするため通訳の勉強をしたいという期待があることが分かりました。 受講して変化したこと 受講して変化したことを毎回質問しています。通訳力がみるみる向上する、ということはないと思いますが、意識が変わることで確実に向上していくものはあります。文脈による適切な訳語の違いをより意識できるようになった通訳の際に意識すべきものが前より明確になった語彙が増えた(2)できていない部分がより明確になった➡今後の学習方針に役立てる通訳スピードをあげる必要性がわかった日頃から「文脈による適切な訳語の違い」を意識する重要性を感じているので、それが伝わっていることが分かり、嬉しく思いました。 通訳速度と正確性 上の回答にもありましたが、「通訳速度をあげる必要性」については、今回初めて指摘したかもしれません。速度と正確性はトレードオフの関係になる場合もありますが、インドネシア語通訳のケースでは、比較的速度が遅めのことが多いので、正確性を維持しつつ速度をもう少しあげることは可能だと考えています。意識の問題だと思います。ざっくりとした訳をしがちな方には正確性を意識し、正確であることに捉われがちな方には、速度を意識してもらい、最終的にはバランスがとれるようになると良いと思います。 制度の違い 通訳レベルにはさまざまな段階があると思います。その中でも、制度の違いを意識して訳出することは、難しく、同時に大切なことだと考えています。字面通りに訳しても分からないのは、それが直訳だからというより、制度の違いを認識せずに訳出するケースも多いのではないでしょうか。トピックになっている制度に関する予備知識がない場合は字面通りに訳すことになりますが、ある程度予備知識があるのであれば、少し工夫することができますね。今回の回答は、「重要な場面においては、制度の違いによる意図のズレ」まで予測することができたと、4名ともが回答していますので、素晴らしいことだと思います。一度できるようになれば、他の場面でも応用できるようになると思います。 向上した力 以下の質問は、今回の秋期講座を含め、過去の「通訳基礎1」を通じて向上を実感したものについて質問したものです。訳出速度、専門用語の運用、日本語理解の精度、インドネシア語理解の精度、日本語訳出の精度、インドネシア語訳出の精度が選択肢にあります。この中で「日本語理解の精度」が一番高いという結果は、講師としてとても嬉しいものでした。日本語話者にとって「通訳力の向上」というと、日本語理解の精度の重要性は優先順位が下がりがちですが、通訳をやればやるほどその重要性を実感します。 「その他」は自由記述にしました。通訳は即時性が求められるため、「漏れ」の中身にもよりますが、「多少の漏れ」というのは許容範囲に含まれると思います。第三者に判断してもらうと、その感覚がつかめるのではないかと思います。通訳が遅い理由の一つに、すべての情報を翻訳してから訳出しようとすることが関係しているかもしれません。 講師によるフィードバック フィードバックは、各受講者が担当した通訳に対して行っているので、他の人にそのまま当てはまるわけではありませんが、以下のようなコメントがありました。 実際の通訳場面で、、、 実際にどのような技術を活用できたのか、質問しました。長い文章になると、メモしている間にまとまらなくなって、訳出した文が原文よりかなり短くなってしまうことがあるかもしれませんが、「長い文章を区切って訳す」というのは、対応できるようになったということですね。自信を持った訳出、というのも大事ですね。通訳をする場面での話者には、「自信をもって話す立場」の方もいらっしゃいます。そのような場面で、通訳者が自信がなさそうに通訳をするのは適切ではないですね。「無理なことは無理と割り切る態度」。これは大事です。私たちは人間です。スーパーマンではありません。同時通訳で、話者が話し始めているのに、通訳者がまだ話し出さない、という意見をいただいたことがあるのですが、人の心を読めるわけではないので、同時通訳といっても少し遅れて訳出するものです。原稿があり、事前に共有されており、話者が原稿通りに話すのであれば、同時に話し始めることもできますが、原稿があったからといって、話者が原稿通りに読上げるとは限りません。文化、制度、知識、笑いの対象や背景の違い、故事ことわざ四字熟語など、さまざまな理由で、通訳が難しい場面があります。持ち時間にもよりますが、「これは訳しようがない」とその場で適切に判断できるようになることも重要だと考えています。 改善点 3点目について。こちらで回答します。これは、疑似通訳現場だと思ってください。なぜ通訳の練習が難しいのでしょうか?それは、本番さながらの緊張感を再現することが難しいからだと考えています。「お勉強」では、現場で必要な判断力が磨かれないのではないでしょうか。この講座でやっているように、限られた時間の中で、「ここは記載すべき」と情報を取捨選択して判断することもトレーニングのひとつです。そして、復習の際には、どうぞ時間をかけて、その時には気が付かなかった他の可能性について各自で深めてください。通訳現場で、AI翻訳による原稿や参考資料が渡されることがありますね。英語と比べると、インドネシア語は間違いがまだあります。そういう時に、「ここは違う!」と瞬時に判断し、誤解のない言い方に言い換える能力も求められていると思います。 本講座の良い点 通訳者として必要なパフォーマンスを学べた他の受講者の存在(3)インドネシア語の上級・通訳レベルの講座であること客観的な意見が得られること自習のモチベーションに良い影響受講者目線では、上記のようなことが学べるそうです。 受講者の皆さま、お忙しいなか貴重て有益なご意見をいただき、ありがとうございました。受講を迷っている方にとって、いただいた率直な意見はきっと参考になると思います。 2026春の通訳講座は、、 受講者のレベルが揃ってきたため、春期は「通訳基礎1.5」を開講します。こちらは、今回の受講者のみを対象にしたものとなります。10月から開始する「通訳講座」について、「通訳講座1」の開講については、受講希望者の人数などから検討します。ご受講を希望される方は、9月までにお問い合わせください。