2023「通訳基礎2」春
上記のタイトルで、1月から「通訳基礎2」を開講します。
「通訳基礎2」は対象者を限定している講座です。このページで紹介しておりますが、申し込まれてもすぐにご参加いただけるものではありません。では、なぜここに記載しているのでしょうか。
今回、はじめてe-ラーニングとZoomセッションを組み合わせて「通訳基礎2」を実施することにしました。E-ラーニング教材をここでお見せすることはできませんが、どのようなものなのかを簡単に体験していただくために、「はじめに」をこちらで一部公開します。
「はじめに」は講座開始前の案内ですので問題やクイズなどはありませんが、実際の教材では、音声、動画、クイズ等を用いて学びを深めていただきます。また、パソコンやタブレットだけでなく、スマートフォンからでも見やすい画面になっております。(ただし、語学学習という目的を考えると、スマートフォンでは画面が小さいため実際にはお勧めしておりません。)
学びについて
「通訳基礎1」や「通訳基礎2」では、誰がどのような内容を受講しているのかあまりよくわからないと感じられる方がいらっしゃると思います。
受講者数が少ないため受講者に合わせて進めることができますが、ある程度の目安となるものがありますので、ここではその話をします。
この1月から「通訳基礎2」を開講します。「通訳基礎1」は簡単な通訳業務を行ったことがある方を対象に実施しており、これを終えた方の中で「通訳基礎2」に進んでいただいてもいいと私が判断をした方を対象に「通訳基礎2」を実施しています。
いずれも10回講座ですが、「10回で何が身につくのか」というのが受講前の方々が抱く疑問ではないでしょうか。
「何が身につくのか」については、ひとつには、受講者のそれまでのインドネシア語学習歴やインドネシア滞在歴、通訳経験等など、インドネシア語や通訳に関する受講前の予備知識や経験に左右されます。
通訳経験が多ければ、周りから期待される通訳力のレベルが分かっていると同時にご自身の実力も把握しているため、そのギャップを埋めるために必要な力を習得したいという思いが強いでしょう。
意外かもしれませんが、通訳経験が少ない方は、ある程度話せるということで逆に安心してしまっていることが多いと思います。「通訳者」が求められる場面はさまざまですので、それぞれが活躍したいと考える場面で必要な通訳力を向上させることができれば良いと考えています。
ですから、ひとつ目の要素をまとめると、受講前の段階で「通訳者として自分は何を求められているのか」を具体的にイメージできているかどうかが、その後の伸びを左右する鍵になると考えています。
もうひとつは、講座期間中にどの程度の学習や復習をするのか、そして講座期間終了後に一旦「学習」から離れ、学んだことをどのように各自の状況に応用するのかをそれぞれが考えることによって伸び率が変わると考えています。
これについては、勉強に何時間費やすことができるのかというような時間数もある程度は重要ですが、限られた時間の中で集中する方が重要だと思います。時間があることが学びの質を保証するわけではないですよね。
「時間ができたら」と思っていたらいつまでもその時は来ないような気がします。
二つ目の要素をまとめると、「講座での学びを通じて何ができるようになりたいのか」を具体的にイメージできているかが重要だと思います。言い換えると「応用力」の問題ということになると思います。
つまり、「10回で何が身につくのか」については、それぞれの講座には「狙い」がありますので、まじめに受講していたらその力はつくように設計しています。そうはいっても、受講者のそれまでの予備知識や応用力次第でその伸びは想像以上に発展する可能性を秘めていると考えています。
これはインドネシア語通訳に限った話ではなく、広く一般に同じことがいえると思います。
インドネシア語は簡単なのか
私がこの「通訳講座」で目指していることは既存のインドネシア語通訳者のレベルアップなのですが、その理由は、あまりにも多くの方が「インドネシア語は簡単だ」と思いすぎているのではないかと疑問に感じたからです。
通訳者だけでなく、インドネシア語を理解する方々の多くも「インドネシア語は簡単だ」と思っているのではないでしょうか。
確かに、初心者が学び始めて会話を楽しめるようになるまでの期間は非常に短く、それについては「インドネシア語は簡単だ」ということができると思います。ですから、観光客、旅行者や短期滞在者にとっては学んでいて楽しい言語だと思います。
また、複数年にわたってインドネシアで生活をするような中級レベルにおいても、簡単だと感じられる方は多いと思いますし、実際にそう言えると思います。
しかし、場面にもよりますが通訳を求められるレベルになると、インドネシア語は決して簡単ではないと思います。それは上級レベルにふさわしい教材がなく、自身のインドネシア語力についてフィードバックされることが少ないからです。
私の講座では教材内容を吟味しているほか、パフォーマンスに対するフィードバックが具体的であるため、「通訳現場で役立つコメントが多い」と言われることが多いと感じています。
インドネシア語検定の特A級やA級を受験された方からは、講座で配布した単語リストに掲載されていた単語がたくさん出た、講座に参加していなければできなかった問題が多くあった、A級に合格したという声や、通訳者としてこれまでとは通訳対象者が大きく異なる通訳業務を引き受けたが、以前なら自信がなかったであろう通訳業務を自信をもってこなすことができた、などの声をいただいています。
これは、私自身が実際の通訳現場での経験を生かして教材にしているからだと考えています。とはいっても、過去に担当した通訳案件や資料は破棄しておりますし、一切使用しておりません。すべてインターネット上で入手できる情報を元に教材を作成しています。
というわけで、2023年も現在開講中の「総合講座」と1月から開講する新生「通訳基礎2」をはじめとして、4月以降につきましては「通訳基礎1」の開講も検討しています。ご興味のある方は是非ご検討ください。