受講者アンケートより~2025夏「短編小説を読む」

2025夏「短編小説」

いろいろと追われているうちに大晦日になってしまいました。

「短編小説」の夏講座は2025年8月~9月に実施しました。

受講者は、魚躬圭裕さま(30代男性)、上博文さま(50代男性)とMさま(40代女性)の3名でした。

期待

2名はリピーターです。1名は春期に他の講座を受講され、受講仲間の紹介で受講を決めました。

全員が「素直に小説を楽しむ」を選ばれていたのは、素直に嬉しいです。教材ではありますが、短編小説は作品ですから、やはり、まずはそのまま楽しんでいただきたいですね。

「他の受講者とのやり取りが楽しい」、「作者自身の朗読を聞くことができる」ことも、この講座の特徴のひとつですね。

作品にはテーマがあるので、作品を読む過程で自分が知らなかった物語や文化的背景を知るとテーマの楽しみ方が増えて面白いと思います。

受講の決め手

「過去に受講して充実していた、楽しかった」という意見がありました。

楽しさの理由は、「ああ!」という発見があるからではないかと思います。他の講座と比べると、「短編小説を読む講座」は受講中に衝撃があり、その後、大きな気づきがあるようです。

「聞いたことがある単語ばかりの文でも、改めて日本語にしようと思うと、今までどうやって理解していたのか分からなくなった」。

初めて受講された方は、大抵そのようにコメントされます。「だから難しい」と。

その後、「インドネシア語の読み方が変わった」、「インドネシア語の表現を考えるようになった」、「わかりやすい日本語を考えるようになった」と言われます。

今回初めてこの講座を受講された方は、秋期講座として他の講座を受講されていますが、インドネシア語文の作り方が一段上がりました。想定していた以上の変化が見られたため理由を伺ったところ、短編講座は大変だったけれど、受講後に、「ああ、インドネシア語ってこんなふうにできているんだ」と思えるようになったからではないか、とのことでした。

楽しく感じるもうひとつの理由は、作品を丸ごと味わうからかもしれません。「次はどうなるんだろう?」とワクワクします。時には期待通りに展開せず、肩透かしを食らうこともあると思いますが、このワクワク感もポイントかもしれません。

期待満足度

受講前の期待として「読解力の向上」を期待していた人は1人しかいませんでしたが、結果として、3名全員が、読解力向上を感じていました。

また、全員が「懇親会で作者に質問できること」にも満足していました。受講者が説明できない個所があれば私がサポートしますし、何といっても、他ではなかなかない企画で、楽しいですよ!

「素直に小説を楽しむ」を3人ともが期待していたのに対して、受講後は「ややそう思う」が2人だったのは、課題提出に苦労したからではないかと思います。

「短編講座」は、毎週ZOOMの講座が4-5回あります。その間に、全員が、課題を2時間以上かけて日本語にしていたそうです。なかなか日本語の落としどころが見つからず、「素直に小説を楽しむ」どころではなかったのかもしれません。

懇親会の魅力

Satmokoさんの作品は余白が多く、さまざまな解釈の余地があるので他の受講者との議論が活発になります。しかし、この講座の特典は何といっても、気になる部分について、直接作者に質問できることです。

作者自身も、私たちが何に疑問に抱いたのか聞くのを楽しみにしていて、「面白い!そういう解釈もあるね!」と言うこともあります。

今回は、この作品のインスピレーションをどこから得たのか、などそれぞれの解釈や疑問点だけでなく、執筆に関する質問も出ました。

また、ZOOM懇親会の際に受講者のひとりがかぶっていたブランコン(ジャワの男性が被る帽子)を見て、次回はそれをテーマに書こう!とも言っていました。さあ、本当にBlangkonという作品が出来上がるでしょうか、、、。

内容について、、、

Satmokoさんの作品には、ジャワの生活を庶民の目線で切り取った作品が多いのですが、今回は珍しく、「ジャワ」を感じさせない作品でした。

それだけでなく、今回はインドネシア語を理解すると、「わかる、わかる!」と共感しやすい内容でした。

コメントは、以下の通りです。ちなみに、サパルディ・ジョコ・ダモノ氏は2020年に亡くなったインドネシアの有名な詩人です。

  • 宗教や国民性、背景が違うインドネシア人も同じようなしがらみと葛藤の中で生きていることが新鮮
  • 日本とインドネシアとの職業観の違いが新鮮
  • サパルディ・ジョコ・ダモノの詩から物語が始まる点が新鮮
  • 詩が後の展開を示唆しているのかどうか考えながら読んだ

課題について

私は、講座の中で「正解はこれです」と言うことは多くありません。

正解を教えてもらいたい人は多いのですが、正解が一つあるということは、それ以外はすべて間違いなのでしょうか。

「回答例が一つ」が成り立つのは、文脈があまり重要視されない初級の段階です。教科書は用法を学ぶために状況を意図的に限定しているため、例文としての「模範解答」が存在します。

しかし、実際に世の中で起きている出来事には、必ず文脈があります。

登場人物の立場、置かれている状況、会話の流れ、相手への期待、そして、カギカッコには書かれない登場人物の気持ち。

それらを前提にして、ことばは選ばれています。

文脈によって選ばれることばが異なるにもかかわらず、単語を学ぶ際に、その文脈との接点を意識して学ぶ機会はあまり多くありません。これが、インドネシア語の中級学習者が直面しやすい課題の一つだと私は考えています。

この講座では、選ばれている単語から、どのような状況が描かれているのかを想像しながら、日本語にしてもらうことが課題になっています。

そして私は、「なぜその日本語を選んだのか」を質問します。

それは、文章からどのような場面をイメージしているのか、その人なりのイメージがあるのか、そして、その根拠は何なのかを知りたいからです。

課題に対する受講者のコメントは以下の通りです。それぞれが何に取り組んでいるのか、しっかり伝わってきませんか?

  • 原文に引きずられているのを感じたけれど、なかなか訳を変えられなかった
  • 単語の持つ多義性や語幹、フレーズや文章のリズム感を残すことを考える習慣がついた
  • 原文のリズムを生かす方法

朗読音声の感想

他ではなかなかない、作者本人による朗読付きの作品です。この感想が、この音声の価値を表していますね。

  • 何度も聞くことで昨日は気づかなかった訳を思いつく
  • 文章の流れや区切りを翻訳の参考にした
  • 文章全体のリズム感や文の切れ目の意図が感じ取れる
  • 自分で黙読しただけでは分からない抑揚が内容理解につながる

改善点

ご意見をありがとうございます。

特に、「違和感についてもコメントできるところがいい」という内容がありましたが、これは他の講座でも意識しています。

ZOOMでのやり取りというのは、同じ場を空間で共有しているわけではないため、コミュニケーションの取り方には各受講者が気を遣われていると思います。

とはいっても、「だから遠慮する」、「控える」のではなく、そのような気を遣う場であっても互いに自由に発言できる場になるように心がけています。

せっかく意見交換できる場があるのに、相手の考えを「褒める」だけでは、学びが薄くなるような気がします。違和感についてコメントされることは、自分にはなかった視点を得られる貴重な機会だと思います。

Quizletが電車移動の際に便利という意見がありました。このような隙間時間の活用は学習継続のカギになりますね。

  • Quizletは電車移動の際に便利
  • 講座の進め方は現状で良い
  • 受講者間のピアレビューがいい
  • 違和感についても互いに議論できるところがいい

2025年のご挨拶

2025年も多くの講座にご参加いただき、ありがとうございました。秋期講座は年明けも継続します。

皆さんとの対話を通じて、私自身も多くのことを学ばせていただきました。この学びを来年の講座にも生かしていきたいと思います。

2026年が皆さんにとって実り多い一年となりますように。

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