受講者アンケートより~2025春「通訳基礎2」By 岩田 晶子 / 2025-08-22 2025春「通訳基礎2」の特徴 「通訳基礎2」の春期講座は、2025年4月~2025年8月に実施しました。受講者は、フリーランス通訳者のAさま(40代)とH.A.さま(20代)の2名でした。「通訳基礎2」は、「通訳基礎1」を修了された方の中から、受講をお勧めできる方にのみご案内している講座です。 受講理由 「通訳基礎2」の受講理由を尋ねました。「通訳基礎1」では音声を扱わないため、現場により即した逐次通訳の学習をしたい方には「通訳基礎2」のご受講が望ましいと思います。受講者は、通訳現場での通訳力向上を目指していたということですね。 受講前と受講後の意識の変化 受講を通じて受講者が何らかの変化を感じてくださると嬉しいのですが、特に「意識の変化」については文字にすることで、曖昧だった感覚が明確になり、自分の学びを再確認できるのではないかと考えています。今回は、お2人とも、聞き取れなかった場合に心がけるべきことについて触れています。また、「クライアントが優先してほしいことは何か」という視点については、通訳者としてクライアントやエージェントからフィードバックをいただくなかで気づくことがあり、その範囲でシェアしました。 気づきや役立ったこと 講座を通じて気づいた自身の強みや課題についての項目です。謙虚な回答が記載されていますが、お二人に共通した強みは「安定したデリバリー」です。内容について個別にみてみましょう。短所があげられていますが、いずれも非常に具体的に判断していますね。ご自身の弱点を具体的に認識していることが大きな強みだと思います。それぞれの課題に対して、段階的に練習や工夫を重ねることで着実に改善できると思います。役立った点としては「自分にはない発想」とありました。これは講師だけでなく、他の受講者からも得られる気づきを指していると思います。マンツーマンよりも、少なくとも他の人がいる方が学習効果が高いですね。また、通訳の事前準備につながる課題の効果を感じていただけたのも良かったです。ややハードな課題ですが、負担以上に学びにつながっていたようです。「さまざまな通訳場面」とは、パートナーとの役割分担、周囲の雑音、話者の話し方の癖など、実際の現場で起こり得る多様な状況を指していると思います。教材のテーマは、通訳者として幅広く情報を得るという視点で選んでいます。内容の幅広さについてはこれまでも評価をいただいていますが、背景知識の有無が通訳パフォーマンスに影響を与えるので、どのテーマも役に立ったと思います。 他では学べないこと 「他では学べないこと」として、次のような声をいただきました。高レベルの参加者と負荷の高い内容の授業を受けられること通訳者としての経験に基づいた講義構成やフィードバック言語能力だけでなく、通訳者としての対応力や対処力まで学べること実際に受講された方々の経験に基づいた感想で、私自身も改めて講座の特色を実感しています。 フィードバックの基準 この質問は、私にとっても課題となるものです。できるだけ明確な基準を元にフィードバックをしたいと考えていますが、限られた時間内にできていたのか、確認してみました。「フィードバックは明確だ」、「先生が通訳に求められる評価軸に沿って、できている部分と足りない部分を指摘」することができていたのであれば、良かったです。今後も、受講者により分かりやすい評価軸でフィードバックできるよう、改善していきたいと思います。 音源について 「通訳基礎2」では音源を用いた通訳演習を行っています。参加者の感想として、難易度の高い音源でも対策について説明があったため学びになったという声や、音源によっては聞き取りにくかったが、音源の問題なのか、パソコン環境や通信上の問題か分からず、講座内ではその点を伝えられなかったという声がありました。音源に関しては、今後講座を実施する際に、何らかの改善策や代替案を検討していきたいと考えています。率直なご意見をいただき、ありがとうございました。 満足度 Google Formの新機能で満足度を5段階で評価していただいたところ、いずれも高い評価(5)をいただきました。 良い点&改善点 良い点と改善点についてです。参加者からの感想では、良い点として通訳業務に必要な実践的な準備プロセスを学べたこときめ細やかな指導課題やテストの量も適切で役に立ったといった声がありました。改善点としては、音源の共有についての指摘がありました。次回以降の講座では、この点も改善していきたいと考えています。 大きな学びや他では得られないこと 講座の中での学びや他では得られないことについて質問したところ、以下のようなお声をいただきました。自習では得られない視点やフィードバックが得られる講座きめ細やかな的確な指導で自分の努力の方向を示してもらえること先生の経験に基づいた通訳としての心構えを学べる点が魅力いただいたご意見は、講座設計や指導の参考として今後も活かしていきたいと思います。 最後に 受講者のお二人には、お忙しいなか丁寧にご回答いただき、心より感謝申し上げます。やる気も情熱もあり、難易度の高い課題にしっかりついてくるお二人の期待に応えられるよう、私も講座運営にあたり工夫して取り組みました。「通訳基礎2」は毎年開講しているわけではありません。また、受講は「通訳基礎1」を修了し、私がレベルに達したと判断した方に限らせていただいております。本ブログを読まれた方で受講を希望される場合は、「通訳基礎1」からの受講となります。ご理解のほど、よろしくお願い申し上げます。