こんなことをやっています~通訳基礎1~

誰であっても、インドネシア語通訳者に絶対的に言えることは、客観的な立場で聞いたら聞き手がどう感じるのか、というフィードバックを得る機会が少ないことです。

英語であれば通訳養成機関でよく指摘されるので、現場に出る前に学ぶチャンスがあります。インドネシア語通訳者は、現場で指摘してもらおうと思っても、同業者には優しい方が多く、ズバッと指摘してくださる方はいません。私もそうなのですが、通訳をしている最中には余裕がなく細かいことまで気が回らないので、改善できることはあるはずですが客観的な意見を知ることは困難です。

「ひとつの単語に多くの役割を持たせすぎる」、「間違った文法の文章を何度も用いる」、「インドネシア語にはない単語を創り出す」、「(友達との会話ではなく)セミナーや会議なのに単文が続く」ということは、通訳現場でも耳にします。

テキストがあまりないからだと思われますが、インドネシア語については、中級以上の文法について実はよく分かっていないという方が多くいます。そのため、間違った用法のまま通訳をしてしまうことがあります。

「インドネシア語にはない単語」を創り出す(正しくない接頭辞、接尾辞をつける)というのも、インドネシア語の通訳現場でよく耳にします。

この意味になるだろう、と考える気持ちは分かりますが、通訳者として仕事をしている時は、もう少し慎重に単語を選んで使う必要があると思います。

間違ってしまうこと自体は仕方がないのですが、間違って覚えているものをできるだけ少なくするためにフィードバックをします。

講座の流れ

課題:

少量のまとまった文章が課題として出ます。通訳をしていると思って自分なりにインドネシア語にします。
サイトラ用の課題が出ます。事前に単語の意味などを確認しておきます。

当日:

各自が作成したインドネシア語を見て、他の受講者がピアレビューをします。最後に私からフィードバックをします。文脈に合わない単語はどれなのか、なぜなのか、どのような表現が可能なのか、などのフィードバックをします。

講師が作成した語彙増強リストがあります。

サイトラなどを行います。この単語は適切なのか、原文に引きずられて不自然な訳をしていないか、読み間違えをしていないかなど、インドネシア語だけではなく、日本語も適切かその場でフィードバックします。
その場で意見をもらえることはなかったので、とても勉強になると好評です。

講座のポイント:

他の人のインドネシア語を「これで伝わるのか?」という批判的な目をもって読む、批判的な耳をもって聞く、という場を提供していることが重要だと考えています。そのような場がこれまでなかったので、通訳経験の長さはあまり関係なく、学ぶ機会にしていただきたいと考えています。

英語の通訳養成機関で出される宿題と比べたら宿題の量は少ないと思いますが、人によってはややハードに感じるかもしれません。勉強時間が取れない場合の受講はあまりお勧めしません。

受講者の方は皆熱心で、毎回時間が足らないほどです。

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